01/マナの赤ちゃん

April, 2022


久しぶりの長旅にいささか準備し過ぎのきらいがある。持ち物には担当があり車・電子機器・車泊関連はボク,衣類・洗顔・入浴・雨具とガイドブック関連は妻のドレミと決まっている。35年来の分担作業である。



今回特筆すべき予定は,一泊二日のサイクリングである。車を離れるとスマホが唯一の情報収集,ナビゲーションツールとなる。たとえ前夜にどのような環境にあってもスマホやカメラのバッテリーをフル充電できるようにポータブル電源を新調して充電した。

サイクリングはドレミの担当にも大きな影響がある。コンパクトな夜具や洗面道具,それを背負うためのリュックをあれこれ工夫している。



携帯用の自転車工具と瞬間パンク修理剤。車と違ってほとんど触ったことがない。これらのグッズを使うときが来ませんように。 



これは?むふふふ,お楽しみ。



何はともあれ,春休み前の最後の授業を終えて,教室を施錠して車に乗れば,そこからもう旅は始まりだ。



首都高湾岸線に入ってからマナに電話で明日の都合を聞く。マナは特別な教え子だ。この冬,念願の赤ちゃんができた。すると産まれる前に見て欲しいと大きなお腹を抱え,夫と一緒に教室まで会いに来た。どこから来たかと言うとご主人の赴任先の彦根からである。


そのときの子が産まれた。ボクらが彦根に行くのは当然である。だが予め連絡すると,マナはボクらを歓待するために忙しく準備をするだろう。前夜に突然電話するのはそれをさせない配慮である。電話の向こうからマナの明るい声が聞こえて午前中にお邪魔することに決まった。実は翌日,旅の初日は全国的に雨の予報で旅程にとっても好都合と言える。


新東名を名古屋の手前まで走って力尽きるのは想定内である。



曇天の尾張岡崎で旅の最初の朝が明ける。



パーキングのシャワー施設。女湯はたいていがらがらである。男湯も夕方はトラッカーで賑わうが朝はすいている。



お手頃値段で量もちょうどよい朝定食がフードコートで食べられる。



スタバのコーヒーは次のサービスエリアでもう一杯買うと割安になる。

いずれもタローと盛んに旅した頃に得た知恵である。


鈴鹿の山々は雲の中。彦根は近い。 



4000gで生まれたマナの赤ちゃんはホントにかわいかった。在宅勤務で家にいた夫も,まるで彼までが教え子であったかのようにボクたちに接する。彼の強い勧めでボクは赤ちゃんを抱いてミルクを飲ませた。



息子を亡くしたボクたちはこうしておじいちゃんとおばあちゃんにはなれた。旅行前,ハルカも大きなお腹で訪ねてきた。この旅行中には二人目の孫が産まれる。

ちゃらTも結婚して半年連絡のないところを見ると,おそらく赤ちゃんと思われる。ボクたちの孫はどこまで増えていくかわからない。



小一時間でマナの家を辞して琵琶湖畔に出てみた。西日本全体で雨が降っているのに,ボクらがいる東近江だけぽっかりと雨雲が切れ,薄日すら差してきた。

さて,どこへ行こう。


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