Apr.5th, 2019
13.スノードニア
ビーチリゾートの夜明け。
9500円だが給湯設備は新しく,熱いお湯はふんだんに使えた。
さらばホテルホワイトハウス。
快晴の空に心が浮き立つ。
スーパーでサンドイッチを買うのも旅の楽しみのひとつだ。当たりはずれもけっこうある。
苦労して作った小銭一覧はあまり役立っていないようだ。
でっかいクロワッサンはスペインっぽい。
ドナドナ…。子牛ならぬ子羊…食用。
山に入るほどに目の前に現れる光景に心を奪われた。
雨模様だった昨日とは打って変わった景色が広がっていた。ちょうど阿蘇の外輪山の中に釧路湿原が広がっている感じだ。晴れを待ってこの地で足踏みしてよかった。
朝が早いのでどこの駐車場もまだ空いていたが,見る間にも次々と車が入ってくる。
この辺りがトレッキングのベースになっているようだ。
思い思いの装備でカップルや家族連れが次々と山道を入っていく。
まだ早春の候,エニシダが咲き乱れている。
ボクたちもちょびっと登ってみよう。
…あっという間に秘境の只中。
スノードン山
前日は霧の中だった西側の湖を通る。
どこを触ってしまったのだろう,義母のカメラは絞り優先F/16に固定されていた。その上,どうも元気がない。ドレミが問いただした。
「実は…」
ホテルホワイトハウスに電源プラグを忘れて来たと言う。前夜,自分の部屋で充電するとひとつ借りて行ったものだ。朝,充電器を仕舞うときプラグはボクに返すため後で別に外そう思ってそのまま忘れた。さぞやボクが怒るだろうと…(ボクはそういうキャラに映っているのだろうか(;^_^A)。自分でホテルに連絡を取って何とかできないかと悩んでいたらしい。
お義母さん,あのプラグをボクは4つ新品で買ってきて,別にWi-Fiレンタルの付属として2つ持っています。ゆうべは失くしたときのことも考えて,レンタルではなくボクのをお貸ししたのでひとつくらいなくなっても痛くもかゆくもありません。
ほっとした義母の表情こそ見ものだった。かわいそうに。せっかくのスノードン山の絶景もくよくよしながら見ていたのだろう。急に元気になって写真をバチバチ撮り始めたのはいいが前述F/16の設定である。ボクたちのツーショットもたくさん撮ってくれたが,そのほとんどは手ぶれしてぼけぼけであった。
ここに暮らす人たちがいる。ニューヨークの摩天楼の一部屋一部屋にも,アモイの石の家々にも,世界中に扉の数だけの暮らしがあって暮らしの数だけ幸せがある。
「あの橋よ!」
ドレミが思わず叫んだ。前日,カーナーヴォンに向かうときにも通った街だった。あまりの美しい町並みに車を停めたかったが駐車場所を見つけられずに通り過ぎた。ナビが偶然同じ道を逆から指示したものだ。今度はビデオを回しながらゆっくりと渡った。
やはりがまんできない。
悪い,ちょっと橋の写真撮ってくる。
村はずれに広い公共駐車場を見つけて車を停め,ひとりで橋まで歩いた。
誰か乗っていれば駐車料金を払う必要はないとピーク国立公園でウィノーナに教わった。写真だけ撮ったら先を急ごうと思っていた。
ぴたりとヒールしていた大きなボーダーコリーが,橋を渡り終わったところで飼い主に「オーケイ!」と言われて弾むようにボクの目の前を横切って小路に飛び込んだ。タローも私道まで帰ったところでヒールを解いてやると家に走って行ったものだ。感傷に浸っていたその時である!!
汽笛が響き渡った。
ひょひょひょー!!
登山鉄道だ!!
ど,どこだどこだどこだ。
SLが走っているのは知っていた。だが義母もいっしょの外国で撮り鉄のために待たせるわけにはいかないと思って諦めていた。偶然,車を停めているときにSLが来たとなれば千載一遇のチャンスだ。この石橋の町の駅に停車しているとすれば間に合うかもしれない。元撮り鉄の血が逆流する。駅はどこだ?人に聞こうとオロオロ!
ひょひょうひょひょー!!
再び胸のすくような音。駐車場の方だ!2分で駆けた。
車に待たせていたドレミが斜面の階段を駆け上っていくのが見えた。停めたのは駅前駐車場だったのだ。
マジかよー!腰の手術以来こんなに走ったことはない。ドレミの後を追って階段を走る。
「なーんだ,間に合ったの?」
と旅のスクープ写真を独占し損ねて少々残念そうなドレミ(笑)振り向くと義母も駆け上って来た。「たいへん!車のカギ掛けないと!」ドレミがさらに駐車場まで一往復。
ウェルシュ・ハイランド鉄道
ベスゲレルト駅
迫力の汽笛とともにカーナーヴォン行き登山鉄道が入線してきました。…あれれれ(;^_^A残念,後ろ向き。
ホームをのしのしと歩いてきたオーバーオールの大柄な女性が機関士だった。
ご注意ください。ウェルシュ・ハイランド鉄道,西海岸ポースマドッグ行きが間もなくベスゲレルト駅を出発しまーす。
登山鉄道ポースマドッグ発カーナーヴォン行き,力強く急こう配を登って行く。三脚なし(;^_^A
強い風の中,EF70-200の鏡筒を岩に押し付けて動画を撮った。
すっかりこの街が気に入ってしまったボクたち。駐車料金を払って(笑)三人で散策に出た。
スノードン登山の基地にもなっているのかちょっとした観光地である。ドレミの喜ぶカフェもお土産屋さんもる。
「ねえねえ,ここクリームティがメニューにあるよ。」
オシャレな店でお茶したいドレミがカフェ嫌いのボクに懸命のアピール。
「シュウの好きなクロテッドクリームとスコーンだよ♪」
なぬ?
…あっさり入店(笑)
汽車騒ぎで走ったのでお腹ぺこぺこ。
あー,おいしー♪
とってもウェルシュなランチ