OUR DAYS2007年2007/6/27

プルルプルル…

職場の電話になおみが出る。

「もしもし、あ、Yujiさん♪」

商業デザイナーをしているボクの弟からだ。

「画伯はお出でで?」

ふだん、言葉づかいのぞんざいな弟がこんなふうにしゃべるときは危険だ。警戒しながら電話を代わる。

「おう!きょうは暇な時間ある?」
「あるわけないじゃん。」
「ちょびっとイラスト描いてもらいたいんだよな。6時入稿で」
「む、無理だよ。あと2時間で授業始まるし、プリントもまだ作ってないし…」
「じぁあラフスケッチ添付してメール送るから頼んだぜ。」

ガチャン。

1

クライアントに出す企画案はふつう最低3パターンは必要だ。かわいいオリジナルイラストの必要な企画となると、ここ数日、別な仕事で徹夜続きの彼にはきびしい作業だ。弟にはボクが職場で使っているMACのメンテナンスをすべてやってもらっている弱みもある。

…と、いうわけで、慌てて描いたのがこれ。何してるとこかわかりますか?


実は「パチンコしながらストレッチ体操している女性」という注文です。そんなのボクのキャラクターにないよぉ(笑)パチンコやったことないし。

最近、広告業界も不況で、弟もスポンサーの考えたおバカな広告企画にもいい顔をしなければならないのだろう。ま、どうせ、ボクの絵なんて数合わせなんだし。

…と、思ったところが、夜に再び電話。

「おう!メール見たか?」
「まさか、もう寝るとこだよ。」
「はい、サクサク見る!」

件名:訂正入りました
+添付ファイル

訂正が入ったということは、企画会議でクライアントが気に入って注文をつけてきたということらしい。

「すぐ、描いてくれ。今夜中に入稿なんだ。」
「今夜って、あと10分で12時だけど…。」
「10分で送ってくれ。」

添付ファイルは弟がクリーンアップして見違えるようになっているイラストに修正箇所が書きこんであった。

2
←10分で描いた追加分

 

「なんだかなぁ。線が細いよぉ。ま、いいか。採用になったら原稿料二千円な。」
「に、二千円?」

厳しい業界だ(笑)


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