OUR DAYS2007年2007/6/30

職場近くのタローの散歩コースは野球のグランドに隣接している。夏が来て草が生い茂るようになると、場外に飛んだボールを回収するのが難しくなるのだろう、草むらに隠れているボールの数が増えて、タローの宝探しの格好のターゲットとなっている。放っておくと一散歩に一個は見つけてくる。帰ってからいちいちタワシで洗わなければならないので、ほどほどにしてほしいのだが、自分で見つけたボールはどうしても持って帰ると言ってきかないのだ。ことボール探しに関しては警察犬にもひけを取らない能力を発揮する。

半月ほど前に、庭ではしゃぎすぎて肉球をざっくり切ってしまったときのこと。

「治るまではぜったいボールフェッチ禁止」

と、なおみに釘をさされたので、タローボールを持たずに散歩に出掛けた。持っていると、ついタローにせがまれて、「じゃ、ナイショで一回だけな。」なんてやってしまうのを見越して、なおみが没収したのだ。

河原の広場に下りて、あたりに人がいないのを自分で確かめると、案の定タローが足の痛いのも忘れてじたばたとボールをせがみ出す。

「残念、ボールないんだよ。」

どうやらホントに持っていないことがわかったらしい。ついっと草むらに入ってくんくんしていたかと思うと、自分でボールを調達してきた。そして、ボクの足元にそれを置いたかと思うと、勝手に猛ダッシュしていく。

…投げないわけにはいかない。

「あーあ、なおみに叱られるよぉ。」

さて、次々と増えてきたボールだが、この半月ほどで、20個を超えてしまった。

2

タローをとてもかわいがってくれる小6のKたろうは散歩道にある球場で練習する野球チームに入っている。そしてお父さんがそのチームのコーチをしているので、ボールを袋につめてチームに届けてもらうことにした。

貯めこんでいた宝物がいっぺんに消えてしまってもタローはめげない。きょうもくんくんと草むらを探している。


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