いえ、体調が悪いとかいうのではなく、帰宅したとき、車から降りないのです。
ふつうなら、車が止まる前からそわそわ立ち上がり、スライド扉を開けると、しゃきっとスフィンクス体勢で待ってます。「OK」を出す前に飛び下りると叱られるので、少しでも早く降りられるようにいい子のステイ姿勢を作っているのです。以前は家が近づいただけで、体を起こしスフィンクス座りに入るものですから、
「何でわかるのかねえ」
「匂いかなあ」
「GPSに近い機能が犬にはあるんじゃないか」
などと話していたものです。
ところが先週のはじめくらいから、ドアを開けても座席に寝そべったまま立ち上がりません。「カム」をかけると、奥に逃げて窓枠にあごをのせ、「ふん」と言わんばかりにすねるではありませんか。叱られると戸口の方までは来ますが、べったり寝そべって上目づかいで抗議してます。車に酔ったのかとも思いましたが、クッキーでつれば、元気に降りて来るので違うようです。
どうやら夜の家の中が楽しくないようです。最近は夕飯も職場で食べさせて、帰りのどこかで散歩、ワントゥしているので、家ではもう何もすることがありません。その上、ここのところずっと忙しくて、帰宅するとなおみも猛然と家事や明日の準備をするだけの毎夜です。タローにとっては、車から降りるのが一日の終わりを意味するようなのです。
「もっと、遊ぶー」
てな感じでしょうか。困ったなぁ。夜中の11過ぎに、もっと遊ぶとねだられてもねぇ。