前夜、仕事帰りに夜景など撮って帰宅が遅くなり、うっかり寝坊してしまった朝。タローなどは「シュウ起こして」の仕事もサボって、ぐずぐずとハウスに寝そべったままです。…と、突如、がばりと立ち上がった気配。
うおおおぉん!!
警戒の声を2度発して、ボクらが朝食中のキッチンに飛び込んで来ました。
背中から後頭部にかけて、毛が激しく逆立っています。こんなに恐怖する様子を初めて見ました。まん丸に見開かれた目が異変を訴えています。
「シュウ!タイヘンだ!早く来て!」
庭に何か恐ろしいものがいるのでしょうか。急いで行ってみると…。
いました!
網戸越しに部屋の中を窺う凶悪なシルエット。謎の宇宙怪獣でしょうか。
ウルトラマンを倒したゼットンに似てなくもない。
ボクの右足にぴったりくっついて来たタローが「うううう…」と、低く唸っています。逆立つ毛がぴりぴりと震え、今にも敵に飛びかかりそうです。ボクらといっしょだと急に勇ましいのです。
「なんだよ、タロー。紙袋じゃないかぁ。」
なおみも笑い出したので、タローも少し緊張を解きました。それでもボクの右足に隠れ隠れしながら近づいていきます。
宇宙怪獣の正体は30kgの米袋。母に頼まれたゴイックさんが八ヶ岳から運んできて、深夜、戸の外に置いていってくれたそうです。
意気地がないぞ!タロー