OUR DAYS 2009/3才2009/3/5

全くもってボクは時間にだらしがないので,日常生活の予定は全てなおみの管理下にある。一般には考えにくいことだが,ボクの携帯メールは定期的になおみがチェックすることに決まっている。勝手に誰かと約束をしてしまって,忘れてしまうことが多いからだ。それを彼女がチェックしてスケジュール化し,ときには先方と連絡を取って調整する。親しい知人はそれをよく知っているので,たとえボクとの予定や約束であっても,なおみにメールや電話をしてくる。

ある日,なおみの親友チョコちゃんからボクの携帯にメールがあった。なおみの誕生日前に,こっそりサプライズで,お祝いのごちそうを作りたいから,都合を合わせてランチの時間に彼女を連れてきて欲しいという趣旨だった。

さて困った。ふつうは困らないがボクの場合困った。

とりあえず,一週間前くらいになったら日程を打ち合わせることにして,受信メールと返信メールを削除した。ちょうど,忙しい真っ盛りだったこともあり,メールも残っていない。激務期間が明けたところでボクはチョコちゃんにこうメールした。

「ボクたち,何か大事な秘密作戦を共有しているはずなんだけど,何をするんだったか忘れてしまいました。」

電車で受信したチョコちゃんは思わず吹き出したそうだ。その後,打ち合わせのメールや電話がなおみにばれなかったのは奇跡に近い。

結局,「チョコちゃんの友だちがレーシック手術について,ボクに聞きたいことがあるので,チョコちゃんちにランチに寄ってアドバイスする」という架空の話を作り,なおみのスケジュール帖にあげることになった。

当日,せっかくチョコちゃんとその息子Yくんが部屋を飾り付けて,サプライズバースディパーティーを準備してくれたのに,なおみが驚いたのは,レーシック希望の友だちがいなかったことの方だった。

それでもボクとチョコちゃんはお互いの健闘を称え合った。ごちそうは春らしい和食で,とてもおいしかった。


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