OUR DAYS 2009/3才2009/3/23

ボクはなぜかとってもご機嫌だったのです。

春期講習前,最後の休日。なおみはいつものように午前中には10日後の旅行準備をすっかり終えました。

「今夜,マンマミアの映画見に行くか。」

それほどボクはご機嫌だったのです。思えば「蝉しぐれ」を見に行って脱力して以来数年ぶり,ましてハリウッド映画となると,「ランボー」以来30数年ぶりの気まぐれですから。

なおみの喜びようったらありませんでした。ブロードウエイでいっしょにミュージカルを観る子どもたちは,みんなもう映画に行かせてあるのに,自分だけはハリウッド嫌いのボクを慮ってがまんするつもりだったのですから。いそいそとインターネットでチケットの手配をしました。

驚きました。今はネット上で座席まで予約できるんですね。ボクなんか,ロードショーと言えば,前の回のエンディングクレジットが流れる頃には,横のドアからそっと入って,座席の争奪をするのが男の仕事と思っていましたから。

ますますボクはご機嫌でした。小雨の中をずいぶんと早めに家を出て,なおみのショッピングにつきあったりするくらいです。

レトロなレストランでお食事なんかしちゃってムードを盛り上げます。

映画館では,父に一服盛って(夕食に焼酎を少々)寝かしつけた母まで合流し,3人揃ってエスカレーターに乗ります。ビルには10くらいの劇場があって,それぞれ別の映画がかかっています。座席の心配がないのはいいものですね。

「いやあ,こんなんなら,月に二度くらい来てもいいぞ。」

もうボクのご機嫌は頂点です。

でも座席の予約は必要ありませんでした。雨の日曜レイトショー。広い客席に観客は10人ほどです。何かいやな予感。

映画が終わりました。感想なし。

いえいえ。ボクはぐっと我慢しましたよ。せっかくみんなで映画に来たんですから。少し強張ったにこにこ顔で最終電車に乗りました。二度とハリウッド映画は観ないと思いますけど。

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