休日2日目も自分の作ったタイムテーブル通り，猛然と洗濯，掃除していたなおみが，物干しから降りてきたかと思うと，突然，朽ち木の如くばったりとベッドに倒れて動かなくなった。熱がある。
「そう言えば昨日代々木公園で寒い寒いって言ってたな。」
「きもちわゆい」
「チョコ食べるか？」
「いなない」
チョコをいらないとは…重症である。が，もちろん，メキシコ帰りではないし，豚に近寄ってもいない。
お昼になおみの好物，「天才二色パスタ」を作ったが，ちょっぴりしか食べられない。午後は昏々と眠り続けた。仕方がないのでボクもひたすら，子どもたちのニューヨーク写真をプリントし続け，とうとう最後まで終わらせてしまった。気付くと夜の8時を回っていた。
「何か食べるか？」
「おかゆ。シュウは何か食べて。」
そうは言っても天才クッカーにも弱点がある。自分ひとりのためには創作意欲が全く湧かないことだ。駅前まで行って牛丼をテイクアウトにし，玉子とサラダを買うためにスーパーに寄った。レジの横に大福もちが売っていた。油っぽい洋菓子はダメでも和菓子なら食べられるかも知れないと思ってそれを籠に入れた。一人で買い物するときに，お菓子を買ったのは何年ぶりだろうか。