OUR DAYS 2009/3才2009/5/3

みかん山からの帰り,小田原厚木道路では気が急いた。午後5時半をピークに東名高速大和トンネルから20kmの渋滞が予想されていた。同じ20kmでも伊豆,湘南方面からの車が集中する東名の休日渋滞は他の高速とは比べものにならないほど凶悪である。せっかく楽しい時間を早く切り上げて来たのだから,渋滞が始まる前に大和トンネルを抜けたい。

前方に30台ほどが制限速度+αの微妙な速さで走行車線に並んでいる。モールと呼んでいて,最も危険な匂いが漂う。モールの中には交通機動隊の覆面パトカーが潜んでいる確率が高い。ボクは僅かに速い速度で慎重に追い越し車線を進んだ。列の中からすっと黒いクラウンが追い越し車線に出てくるのがバックミラーに写った。ほとんど前なんか見ていないので見逃すはずもない。早めにウインカーを出して列の切れ間に入った。クラウンも後方に割り込んでくる。男二人乗車は限りなくきな臭い。

「なおみ!後ろのクラウン,人相悪くないか?」
「うーん」

二人でミラーを凝視する。ナンバーは読み取れない。

「どちらかと言えば,人の良さそうな感じよ。」

前車との距離がなくなったので,思い切って再び追い越し車線に出た。このタイミングでついて来たらもはやクロと考えていい。ところがバックミラーには白いマークIIのフロントがいっぱいに迫っていた。ボクはすぐに車線を譲った。

「おお!チャレンジャー!みんなキミのような勇敢な若者の登場を待っていたのだよ。」

点数の乏しいボクがホッとしながら,マークIIの後ろに付こうとすると,追い越し車線にはクラウンが迫っていた。

「なーんだ。ご同輩だったのか。」

そう思いながらやり過ごした時だった。真横に並んだクラウンのルーフにいきなり赤灯が飛び出し甲高いサイレンが響いた。加速するクラウンの助手席で,男の横顔が満足そうにニヤリと笑うのが見えた。

「なおみー!!どこが人の良さそうなんだよ!」
「しょえー」

哀れマークIIの勇者は路肩に誘導されていく。危機一髪!

それにしても小田原厚木の制限速度は70kmである。赤灯の回った瞬間,ボクを含めて辺りの車は全部速度違反車と言うことになる。中央道も80km制限だが,実際制限速度でこれらの高速を走るのは危険を超えて恐怖に近い。周りは100km前後のペースで流れているからだ。100kmでも流れに乗っている限り摘発の対象にはならない。

これはどう考えても理不尽である。確かに小田原厚木には一部危険なインターなど減速が必要な場所もあるが,過剰な速度制限はその区間に限定すべきだろう。全体としては現在の自然な流れを追認する形で見直し,現実的な制限をきめ細かくかけるべきではないだろうか。矛盾が解消されなければ,摘発されるのは運が悪いと考えるイ・ケ・ナ・イ・ドライバーσ(o^_^o)の意識も変わらない。

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