天気の悪い日曜日。何か有効に過ごそうと相談がまとまり，I市に親友を訪ねることにした。I市は職場から近いが，それだけにかえって休日には足が向かない。友人宅への途中にタローの生まれたブリーダーの店がある。用がないと訪ねにくいので，爪きりと足回りの毛の処理をしてもらうのを口実に立ち寄ることにした。店が近づくと，風の匂いでそれを知るらしく，じたばたしながら，キューキューと鳴き出す。
タローを取り上げたご主人はちょうど店にいたが，タローそっくりの父犬と弟は売れてしまってもういなかった。マズルが大きく，骨格の太いタローと同じ血筋の風貌を好む人も多いようだ。
今は腹違いの弟が店の看板犬になっていた。