OUR DAYS2010年2010/8/6

炎天下、むずかるタローを促しながら遊歩道まで出る。植え込みにタローを放してワントゥを待つ間、白い日差しに目を細めて辺りを眺めた。

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槿(むくげ)の大きな株があって、若干不自然な位置に花が3輪咲いている。春先に区指定の造園業者がばっさりと根本近くまで切って行った。そんなに切ってしまって花が咲くのか心配していたので淡いピンクの花を見てほっとした。

韓国慶尚北道に友鹿書院を訪ねたとき、ボランティアでボクたちをガイドしてくれた女学生の声が耳によみがえった。

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「韓国のコッカを知っていますか?」

唐突に彼女は言って、踊るようにそのピンクの花の前に立った。

「ムクゲです。」

炎天下、何日か旅してきたボクらはいろいろなところでその可憐な色合いに癒されてきたが、友鹿書院の槿はいっそう爽やかだ。

彩夏韓国08/ウロクトン!より

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ボクが槿を好きになったのは6年前のその夏、韓国を旅してからのことだ。

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タローを連れて家に戻るとなおみが掃除を終えていた。夏休みに入って以来、今日も昏々と寝ては覚めるの一日が続いている。そろそろ社会復帰のリハビリを兼ね、商店街まで買い物に出ようということになった。

4

商店街を行くと、店先でトッポギを作りながら売っている夫婦がいた。トッポギとは辛いソースをからめた韓国餅で、ソウルやウルサンの町のあちらこちらで露天のトッポギ売りを見かけた。懐かしさに思わず声をかけると果たして韓国人の夫婦だった。

韓国旅行した夏も今年と同じように暑さが厳しかった。ボクは露天のトッポギを食べてみたかったのだが、あまりの暑さに手が出ないまま旅行を終えた。その後、日本でも韓国料理店のメニューに見かけることはあったが、なかなか食べるチャンスがなく、とうとうこれまで未体験になっていた。

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初めて食べたトッポギは予想通りの味と辛さだった。

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