OUR DAYS2010年2010/9/13

「shu先生、あの犬を教室から出してください。」

タローのことをタローではなく「犬」と呼んだのはスーパーK太ただひとりである。犬が大の苦手なのだ。タローはちょうど彼の卒業と入れ替えに教室にやってきた。K太が大学生になって高校部の講師として教室に戻ってみると、大型犬が我が物顔で歩いていたというわけだ。

半年立って、随分と慣れてはきたが犬嫌いは治らない。タローの方も避けられていることがわかるらしく、ふつうとは違う対応の必要な相手としてスーパーK太を認識しているようだ。

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ただK太の教室に入ってくるのはタローにもよんどころなき事情あってのことなのである。すなわち高校部のある土曜はメイン教室で中3の理社国の授業がある。なおみちゃん担当の社会はいい。問題はshuの理科と国語である。内容の薄さを迫力でカバーしようとするかのように、とにかく声が恐ろしい。自分が叱られているわけではないとわかっていてもときどき漏らしてしまうのだ。だからshuの授業が始まると、最もセーフティーな場所であるサブ教室の教卓脇に逃げ込む。できればそばに来て欲しくないK太も、その事情を慮って無下に追い出すことができなくなった。かくして、微妙な距離感を保ちながらK太の授業には今日もタローが侍っている。

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