OUR DAYS2010年2010/9/23

「ねえ、23日どうする?」

教室でなおみが聞く。中3の子たちにはもうボクたちが夫婦であることは公認なので遠慮ない話し口だ。どうする?とは補習するかどうか聞いているのだ。何度も書いているが、補習をずんずん決めてゆくのはボクではない。なおみである。ワーカホリックの気がある。

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ちゃらTまで駆り出されている日曜補習

「どうするって祭日じゃん。休もうよ。」

子どもたちが固唾を呑んで見つめている。このやりとりの結論によって、秋分の日に自分たちが遊べるかどうかが決まるのである。

「ずっと日曜補習が続いてるから、休めるときは休まないとまずいぞ。」

「そうですよ!shu先生やなおみ先生の体が大事っす。」

はあ?

「二人がもし、お倒れれたりしたらボクたち受験生たちはどうしたらいいんすか。」

ワルのタクミとシンヤである。敬語の助動詞がヘンだよ。

「おまえら心にもないことをよくもまあ、しゃあしゃあと言うよなあ。」

目などうるうるきらきらと誠実さをにじませるかのように光り輝き、素人ではとても見破れない。二人ともそのへんの道にたむろしていたら怖いほどのワルだが、なおみの前では借りてきた猫のように従順だ。だからなおみは彼らのことがかわいくてしかたない。どうしてもちゃんとした高校に入れたいのだ。何しろ「cat」が書けないところから、まがりなりにも文法問題が解けるところまで漕ぎつけた。ハリネズミのように教師と見れば反抗し続けた彼らだからこそ、自分に向けられた誠意には敏感なものだ。

「おまえらまさか、もう遊びの予定が入ってんじゃないだろうな!」

「まっさかー!!何言ってるんすかぁ、ボクたち受験生っすよ。」
「ただひたすら、先生たちのことが心配で…」

なおみがとうとう吹き出して祭日補習はしないことで押し切られた。そういうわけでのんびりの休日、朝から篠突くような雨が降っている。タロ散に出て濡れたりすれば肌寒い。昨日は34度の猛暑だったのに…。こりゃ、気をつけないと大風邪ひくぞ。

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