OUR DAYS2010年2010/12/16

マクドナルドの1号店が銀座にオープンしたのは1971年のことらしいが、それ以前には日本にハンバーガーがなかったのかと言うとそうではない。惣菜パンの一種として、パン屋のウインドウには結構並んでいたものだ。千切りキャベツの上にハンバーグ、ピクルスの代わりにパセリを挟んでラップに包んである、そう、ちょうどこんな感じだった。

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いやあ、懐かしい。どこで見つけたかと言うと、人形町の名物パン屋マツムラである。

ボクは小学生のとき、中野にある進学教室の日曜テストに通わせてもらっていた。午前中にテストがあり午後はその解説授業だったので、母は電車賃の他にお昼代をくれた。新宿駅で国鉄に乗り換えるとき、ボクはそのお金でパン屋のハンバーガーを買って行った。たぶん、それが大好きだったからだと思う。

お昼代はハンバーガーを買っても、ずいぶんと余ったのだが、母はそれを返せとは言わずにそのままくれた。小学生にとっては破格の小遣いで、数週間貯めるだけで、欲しかった歴史シリーズの切手が次々と買えた。弥勒菩薩や法隆寺など、大きくて美しい切手だった。当時の子どもたちは、たいてい好みのシリーズ切手を集めていたのだ。新宿にはコレクター向けの専門店もあった。その切手帳は今も捨てられずにどこかにしまってあると思う。

マツムラで見つけた昭和バーガーは、確かに懐かしかったがやはり今食べてみるとマックやモスほど美味しくはない。おそらくは、味でも価格でも専門店にかなわずしだいに姿を消したのだろう。

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