「ぼ・お・る!ぼ・お・る!」
河原に下りると、目と尻尾で思いっきりそうアピールします。
ばっかだなあ、こんな炎天下でフェッチしたら、ホントに死んじゃうぞ。
仕方ないので遠くには投げず、近くの日陰にポンと弾ませます。
「来た!」
ワンバウンドしたボールにまるで回転レシーブするかのように飛びつきます。
そしてボールを持って勝手に川の方へ行きます。投げてもらえないときの「ひとりボール遊び」がこれです。
川岸ぎりぎり(これはフェンスぎりぎりとか家の中ならベッド脇ぎりぎりなどの応用バージョンあり)に、わざとボールを置き、転がって川に落ちる間際に飛びついてくわえるという「どきどきスリル遊び」です。寸でのところでくわえると、またぽんぽんぽんとよりデンジャラスな位置に放します。
あまりのスリルに興奮して<br />尻尾ぶんぶんです。
ホントに落ちる寸前までじっと見ていますが、ボールが落ちかかってからでも余裕のジャンプ力は持っています。ところが如何せん、ウルトラぶきっちょなので、たいてい3回めあたりで鼻先に当ててポッチャンということになります。フェンスのときは向こう側、ベッドのときは奥の方、いずれにしても届かないところに転がってしまうわけです。すると、
「きゅんきゅんきゅんきゅん…(パパ、取ってよ取ってよ取ってよ)」
となります。その声を聞くと、どうしようもなく甘いパパが
「どうしたろー、しかたないなあ。よしよし、パパが取ってやるから下がってなさい。」
と、水の中だろうが、高いフェンスをよじ登ろうが、床にはいつくばろうが、取りに行くことによって、かろうじて成立するわけのわからない遊びです。