しらべ荘から町へおりる道すがら、
「あ、今の…」
「ん?」
「コスモスと田んぼきれいだった。」
なおみがそう言うからUターンして戻るのである。
車を農道に入れて停め、現場まで歩いて行ってみると、それほどの風景でもない(笑)町に下りる抜け道になっていて田んぼの中でも交通量がけっこうある。車が切れるのを見計らい、センターラインまで走っていって何とかフレーミングした。車に戻ると、待っていたなおみが文庫本を閉じながら言うのである。
「どうだった?」
ん?まあな。とか何とか言いながら車を出すのである。父の様子を見に、施設に下りるだけだ。慌てる必要はない。用はあるが基本、休日なのである。帰り道は夕焼けが撮れるかなと思いながら信号を曲がると、助手席のなおみは寝息を立てているのである。