OUR DAYS2013年2013/10/19

昼前、PCデスクの下にあるハウスから、ふらりとタローが立ち上がった。もちろん、珍しいことではない。PC作業を続けていると、背後で

けぽっ

…というかすかな音。

振り向くと、タローが10時過ぎに食べたえさを未消化のまますべて吐いていた。床に腹ばいになったタローはじっと目の前の吐しゃ物を見つめている。食べなおしたいのに吐き気が止まらないのだろう。目が涙目になっている。

どうしタロぉー

不安を感じさせぬよう優しく言いながら片付ける。

朝の大がぶよぶよだったので、お腹をこわしていることは気づいていたが、ジムから帰ったときの「おかえりなさい突進」は変わらぬ力強さだったので、うっかりふつうに朝食を与えていた。

食べ物を全部吐いてしまったので、気分が悪いのとは別に空腹も辛い。涙目のまま必死にアピールするので、チーズをひとつ与えた。

なおみが買い物から帰ってきた。心当たりがあるという。前日、抱きしめたときにとても体が熱かったと言うのだ。風邪のウイルスが疑われる。

ハウスから首を上げじっとボクを見つめるので、

「お腹痛いのか?」

と、聞きながら玄関に向かうと、飛び起きてついてくる。急いで散歩の準備をした。走る走る、私道の端まで行って、足踏みしながら待っている。追いついてリードをすると、またダッシュして遊歩道へ、いつもの場所より遠くまで走って苦しそうに下痢便をした。

お昼ごはんはもちろん抜き。通勤中も仕事に入ってからも、ときどきお腹の痛みを訴え、もう出るものがないので粘液だけの血便になった。

食べ物をねだるし、散歩も元気に歩く。体調が悪いということが理解できていない。下痢が止まったので、夜は様子を見ながら、少なめにえさを与えてみた。翌朝も少し食べて、そのあとの散歩でポッチリと小さな、固いフンをした。

「もう、大丈夫ね。」
「よかったよかった。」

おさんぽクンの紙を広げて、フンを囲んで眺めながら、微笑みあう…レトばか夫婦。

…だが、その回復は一時的なものだった。

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