OUR DAYS2014年2014/10/18

自宅でPCに向かっていると背中でタローの気配が濃い。
ふりむくと

「気づくの遅いよ!」

的な表情をする。見ていたなおみがその様子に笑い転げる。タローは声を出さないので,用があるときはこちらが気づくまでじっと立っているだけだ。気づいたとわかると,今度は前足でステップを踏む。

「こっち来てよ。」

…と,いうのをそのステップで表現する。ベッドルームまで案内する。もうシッポはぶんぶんである。そしてうきうきが止まらないふうでベッドに向かってただ立つ。

何だ?どうしたんだ?

ホントはわかっているのだが,わざと知らないフリをしてそう言うと,

たかたんたん!たかたんたん!

…と,ステップを踏む。「ボール取ってよ」と言ってるのだ。ボクたちのベッドは亡き父の手作りで,角材を組んだ下に隙間がある。そこにタローのボールがよく入ってしまうのだが、きょうはボール遊びしてないのであるはずがない。

どれどれ…

ボクが覗き込むと,タローもいっしょに覗き込む。暗くて見えないが,もちろんボールがあるはずもない。なおみが毎日掃除機を入れているのだ。

たかたんたん!たかたんたん!(取ってよ)

言われるまま、もう一度,覗き込んで首をかしげてみせる。…と,突然,

!(きらーん)

…と,ひらめいたらしい。首とステップを使って,

たんたか,くい!たんたか,くい!(こっちに来てよ!)

道具箱まで連れてくる。懐中電灯と長い竹製の物差しをいつもそこから出してくるのを知っているのだ。それらを道具箱から出すと,もはやノリノリテンションマックス!!ほとんどスキップをするようにベッドまで先導して戻る。

ベッドの下を懐中電灯で照らしながらものさしを差し込む。ヨコで並びながら鼻先を思いっきり突っ込み,尻尾は高々と振る。

仕方ない。なおみが後ろからこっそり手渡すボールをベッドの下に転がし,さも見つかったようにものさしで引き寄せる。

ありがとうも言わない。もう,るんるんでボールをもてあそびながらハウスに運んでいく。


あぐあぐと噛んで感触を楽しむが,5分もしないで飽きてしまう。


ん?何?…と,言っている。ボールはなおみが洗ってまたしまう。もう興味がなくなっていて知らん顔をしている。

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