OUR DAYS2015年2015/7/11

最初は,5月の終わり頃。タローが何も段差のない部屋の床につまずいて倒れるのをなおみが目撃した。犬用に滑らない加工のしてあるフローリングマットなのに…。

それから,頻繁に転ぶようになった。立ち上がるのに失敗して横転する。横断歩道でつっかかって這いつくばる。車から降りるときも,そして玄関の土間に下りるときも,何度かへなっと前脚が崩れて,胸から地面に落ちた。その度ごと,とくに痛がるでもなく,「あれ?」というようにきょとんとするだけで,何事もなかったように歩き出す。

確かに足が細くなって,筋肉も弱ってはいるが,銚子に行ったのも,御岳登山したのも,その後のことだ。要するに気合いの入っているときは,まだ足腰に支障はない。問題はただ歩くとか立ち上がるとか,無意識のときの動作が危うくなっているようだ。実際,夜中や起き抜けに最も多く転ぶ。

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耳にも障害が出ている。かつんというような音に過敏に反応する。びくっと体を硬直させて身構える。ぼんやり寝転んでいるときには,反射的に立ち上がろうとしてまた激しく転ぶ。それほど臆病な性格でもなかったので,その変わりように驚かされる。

一度,大怪我をしたらそこから介護になるかもしれない。覚悟はしているが,とりあえずそのリスク回避のためにできるだけのことを始めよう。

現在,最も危険なのは玄関を下りるときである。もともと,母はもちろん,ボクもこの高さに膝が負け始めていて,ブロックを置いてステップ代わりにしていたのだが,それを除去し,DIYで既成の木製ステップを買ってきた。それも,高さの違うものを二つ購って並べた。

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「わたしはブロックでタローは木製階段かよー!!」

…と,母が目をむくに違いない。だが,これではまだ不十分だった。ステップに刻まれた滑り止めの溝は,犬の足には如何せん足りない。溝のないところは木製だけにかえって滑りやすい。

床用のマットを買い増してステップにも張ることにする。休日のDIYはふつう楽しいものだが,どうしてもタローの心配をし,深刻に相談しながらの作業が続く。

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あきらかに,自分のことで二人の会話が重くなっていることをタローはすぐに気づく。作業半ば,ついにそのプレッシャーに耐え切れなくなって現場に乱入してきた。全身でさんざんじゃれついたあとはボクの手をくわえてじっと甘噛みする。

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そうしていると,少しずつ不安が取れて落ち着いてくる。

作業完了。

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下りるときはステップを使い,上がるときは右側で今までと同じく,足を拭いてもらいながらひと足ずつ。それを覚えさせるのには,クッキー2個と1分足らずの時間で充分だった。頭はまだしっかりしている(笑)


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