勇ましいスキーウエアに身を包み,関越のパーキングでスタバしちゃってるのは他でもない。
をい!オレの長靴にアゴ乗せんなよ。よだれだれだれになるからぁ。
…2年ぶり,1月恒例の雪国行。
去年はボクが突然腰のしびれに見舞われて中止になった。今年…腰痛も痺れも変わりはないのだが例によって痛みに慣れた。ちょうど攣(つ)ったときによく似ていて,しゃがんで1分ほど,激痛に耐えると暫くはよくなるので歩くこともできる。慣れとは恐ろしいものだ。
BEFORE→関越トンネル手前のチェーン脱着所。暖冬の影響か,雪が全くない群馬側。
関越トンネル
3,2,1
雪国ー!!…って,あれ?
AFTER→これにはびっくり。毎年,一面の銀世界。たいてい,チェーンのチェックしている土樽パーキングが乾いてる。
それでも,まあ,端の方にそこそこ雪はある。
ニンマリ…あ,タロー,これでオッケーのようです!!
狂ったように走り回ってるところは,とてもスマホでは追えないが,最近は30秒ほどでばてる。
あ,ちょっと失礼。
とまれ雪を探して湯沢で流出。何やら波乱の予感(;^_^A
重ねてびっくり。
湯沢から越後上田にかけて,南魚沼一帯に雪がなく乾いている。
西の十日町へ向かう峠でようやく雪にありついた。
きゃっほー♪
ん?
きゃっほー♪
ん?
ぱぱ,遅いよ。
む,むちゃ言うな。雪が深すぎる。
ゆきがたー!!
ママのまねー!!
上手上手ー♪
じゃあ,今度は雪合戦ね♪
それ!
ぱくうー!!
…ノド渇いたでしょ。
はい,アイス。
あぐあぐ,むぐぐぐ。
タロー,いい子ねー♪あら?
ありゃりゃ,足の飾り毛がタイヘンなことになってる。
ひゃー!!後ろも!!
一時撤収!!
実は遊んでいたのは,こんなところ。国道からほんの30メートルほどのところまでしか進めなかった。
東京からはるばる冬期通行止めの有料道路の入り口に遊びに来るのは間違いなくボクたちだけだろう。
微妙に乾いている雪が毛にまとわりついてどうやっても取れない。
車の暖房で融かしては下ろしてタオル拭きを繰り返すしかない。放っておくとシートがびしょぬれになっちゃう。
魚沼の楽しみの1つたる「へぎそば」。片木(へぎ)と呼ばれる独特の木製の器に布海苔をつなぎに使った喉越しのよい蕎麦が一口大ずつひねって盛られている。どうやらその発祥は十日町らしいので,ファンとしては是非,本場の老舗で味わいたいとて訪ね来たものである。
雪を毛にいっぱいつけたままのタローを車に置いてはおけず,店先に繋がせてもらっていると,ちょうど昼時を過ぎて客足も落ち着いた頃合い,犬好きの店員さんたちが目敏く見つけて大歓迎してくれる。
水をもらってタローもお昼にしようと思ったら,餌の桶を忘れたことに気付き,バケツまで借りてしまった。
さて,元祖へぎそば。蕎麦つゆが魚の出汁である。薬味は和辛子。何れも鰹節や昆布,それに山葵などが手に入らなかった発祥時の伝統を守っているそうだが,どうにもぼんやりとした味が江戸っ子の舌には合わない。タローに優しくしてくれた店の人たちには悪いけれど,関東からの客層に合わせて東京風蕎麦つゆで供される湯沢のへぎそばの方が旨い。
もっとも東京風と言っても今どき東京でボクたちが食べている味の半分は化学調味料である。ワサビだってヤマワサビにちょいとホンワサビを加えて,色と香りをつけたまがい物をチューブから出して使っている。どちらが本当の味わいかはわからない。
腹がくちくなって,次は街道沿いのホームセンターに入った。タローの餌桶は家に帰れば沢山あるので,むしろ別用途にリユースできそうなボウルを購入。そしてかんじきである。
竹で出来た本物のカンジキも同じ値段だったが,紐の結わえ方が不慣れな者にはとても難しそうなので諦めた。これでさっきのように深い雪にはまることなく歩いてタローを遊ばせられる。
カンジキは明日の楽しみに取っておいて,今日は長岡の近くに訪ねたいところがある。
ブームの頃は,この広い駐車場から車があふれたことだろう。あちらこちらに立っている路駐禁止の看板が往時の盛況を物語る。
ここは与板という小さな町。
長い石段を登り詰めたところがようやく入り口である。
タローが大好きな山歩き。なあに,ボクにしたって10分歩いて1分しゃがめば,何のこともない。
苦もなく山頂制覇した。
ここは 与板城跡…と言っても一般には馴染みないが,7,8年も前だったか子役のキヨシローくんが大ブレイクした大河ドラマの主人公直江兼続の居城である。
戦国時代の城跡の大半は目ぼしい建造物も残っておらず,よほどのマニアでもなければ訪ね来ない。そのわりには,史跡としてよく整備されているので,犬連れには天国のようなハイキングコースである。分けても,大河ドラマの舞台になって一躍注目されたマイナー史跡の1年後以降が狙い目である。官民あげて観光誘致した夢の跡,申し訳ないほど立派な駐車場や遊歩道に人っ子ひとりいない。
そして僅かに残るロマンチックな遺構にも丁寧な案内板が立っている。
本丸からの大展望もよかったけれど,下山途中の竹林越しに臨む与板の町並みが美しい。
ただでさえしゃがんでばかりでペースの遅いボクが町の写真など撮っているのを,妻とムスコが真っ暗になった麓の公園で待っていた。ただ,投げた雪玉をジャンプしながら口でキャッチするというシンプルな雪遊びを飽きることなくずっと続けている。
ボクが着いてから,また毛繕いが始まる。
とうとう雪明かりがなければ歩けないほどとっぷりと暮れてしまった。
専用大駐車場までがまた遠い。
なぜ,こんなにのんびりしていられるかと言うと,例によって宿無しだからである。凡そ経済的理由から宿を予約していない。仮にお金があっても,日暮れまで気ままに遊んでから泊まれるようなところには,めったなことで大型犬は泊めてくれない。
高速で上越近くまで南下した道の駅に温泉施設が隣接していた。今夜はこの道の駅で車に寝袋で寝ることにした。
温泉はとてもいい泉質だったし,併設のレストランは安くて美味しい。もう運転しなくていいから飲んだくれできるってんで,すっかりいい調子の上機嫌♪
ちょうどその頃太平洋では,予報通り移動性の南岸低気圧が日本に近づいていた。