OUR DAYS2016年2016/8/3

偶然休日だった弟が車で病院に迎えに来た。経過が悪かったときのことを考えて頼んでおいたのだ。

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「おう,具合はどうだ?」

「経過良好。すまんがこの足で三国峠までオレとタローを連れてってくれ。」

「え?三国峠ってどこだ?」


「どこもここもない。三国と言ったら上信越の三国に決まってる。関越トンネルの上だ。行き先はビミョウに新潟県」

「バカ言ってんじゃないよ。仕事でほとんど徹夜明けなんだから。」

「片道ほんの4時間だ。」

「冗談だろ。だいたいオレはこれからシンゴジラ見に行くんだよ。今日しかチャンスないんだ。ほら,チケットも買ってある。」

「よし,仕方ない。そのチケット代はオレが負担するから破棄しろ。ほら,車出せ。現地滞在時間は30分でいい。高速はオレが片目で運転するから寝てればいいよ。」

「バカじゃねーの。帰る前に名前が戒名になっ…」

「頼む!」

「…マジかよ。」

結局,運転は夏休みでゴロゴロしていた甥っ子がした。

「夜11時からバイトなんすよ。」

「そうか。間に合うように頑張って飛ばせよ。」

この甥っ子,免許取り立てでかなり危なっかしいが,男はこういうときに鍛えなければならない。

三国トンネルを抜け,スキー場から少し下った街道沿いに合宿所がある。

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午後2時45分到着。徹夜明けの弟はピクリとも動かない。

勝手知ったるタローが一足先に宿の中に走りこんだ。

たつきは数学の授業中で,なおみは仮眠していた。

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子どもたちは驚き,タローは川に飛び込んで,宿の老犬ネーヴェと2年ぶりに遊んだ。

16080703.jpgそしてなおみは静かに起きて来てにっこりと笑った。

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たった一日会わなかっただけだがその笑顔を見に来た。

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都内の渋滞が心配だったので,滞在時間はホントに30分以下だった。

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湯沢側に下って,二人にへぎそばをふるまった。

途中で復活した弟が運転を代わり,ようやく安心して眠れる走りになった。東京に帰ったのは8時過ぎだった。

処方されたロキソニンは車中で全部飲んでしまった。

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