OUR DAYS2017年2017/6/22

母からサマーチェリーの花束がどっさりと送られてきた。

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もちろんひとつはなおみ宛でオフィスのカウンターに飾った。他には配達リストと手紙が添えられている。その中に,ミネギシ老師の名もあった。たいていの届け先にはボクが家の前まで運転して,なおみが花を持って玄関に走ったが,老師の許にはなんとしてもボクが行かなければならない。

医院の急な階段を一段ずつ上がり,受付で

イマムラです!!母から届け物です!

と叫びながら笑ってしまった。これでは子どものお使いである。激しい風雨の日で,患者が少なく,老師は玄関まで出てきてくださった。

「おお!どうだ!」

まだ歩けません。でも術後経過は順調だそうです。

「待ってろ」

老師はいったん診察室に入り,患者に「ちょっと待ってて」と声をかけ,電極やら針やら消毒薬やらを持って出てきた。

「これ持って」

電極をボクの左手に渡す。痛いと言ったので,玄関先で治療してくれようというのだ。耳たぶの内側にいつもの磁石を貼り付けてくれた。

「どうだ」

は!効きました。ほらっ!

玄関で足踏みしてみせる。実は学部長に処方された薬の量が倍になってから、多少ふらついたり眠くなったりするが、痛みは心なしか緩和された。サマーチェリーと寒天と手紙を手渡す。

「ときどき,ぐりぐりしなさい。」

耳たぶの磁石を揉んでくれる。

ボクはきっと治るのだ。

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