OUR DAYS2017年2017/12/19

最初の弔問客は偶然立ち寄ったK太のママだった。カウンターに並んだ遺影を見て「いやあ!」と叫んだままなおみと抱き合って絶句した。K太の誕生日はタローと同じ2006年2月16日、K太とタローは親友でここ2、3年は合同お誕生会をしていた。K太ママはタローがボクらにとってどういう犬かもよく知っている。「あたしがK太を失ったのと同じことだ。」となおみを抱きしめながらおいおいと泣いた。数刻後、病み上がりのK太が花束を握りしめてやって来た。

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次は教室のビルの大家さんがオロオロと霊前袋を持ってやってきた。教室に通う孫娘から話を聞いたらしい。彼が許可しなければタローは看板犬として教室に通うことはできなかった。だが、商売づくでは全くない。彼もぶんぶん尻尾を振り回してすり寄るタローの愛らしさにやられてしまったクチである。

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それから昼も夕方も夜も続々と弔問客が訪れた。卒業生,卒業生のお母さん,在校生の親御さん…

みるみる祭壇は花や贈り物で埋まっていった。クリスマスの飾り付けは片付け,教室のパンフレット台も下ろしたがもう花が置ききれない。

駅前の花屋さんはおおわらわで,いったいどなたさまが亡くなったのかと思っていることだろう。

そのうちに大きな胡蝶蘭が届く,西洋梨が供えられる…

今日(19日)の時点でこの状態。なおも増え続けている。これはタイヘンなことになった。

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卒業生の中には一輪の花を握りしめて来る高校生の男の子もいれば,大きな花かごを抱えてくる社会人もいて世代も様々だ。

ああ,そう言えばこの子もタローと仲が良かった。この子もタローを可愛がってくれた…タローは大勢の子に愛された。犬は苦手だけどタローは大丈夫という子も,タローがいるからこの教室を選んだという子も一人二人ではない。

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