OUR DAYS 2024年2024/8/20-8/31

8月20日/岳父昇天

19日、義父が亡くなった。なおみが会いに行って6日、ボクが訪ねた時から1か月だった。

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 18日の夜に誤ってエアコンを消してしまったらしい。熱中症で昏睡状態になっているところをヘルパーさんが発見した。

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一切の延命治療をしないように自ら一筆書き、周りにも伝えていたので救命治療は行われなかった。そのまま意識が戻ることなく亡くなったそうだ。昨年末、咽頭癌で医者に余命1か月の宣告を受けてから9か月を生きた。胃ろうを断っていたので、カロリーを摂るために好きでもないケーキとティラミスを毎日食べていた。ホスピスは手続きを済ませ、いつでも入居できる状態だったが結局利用せず仕舞いとなり、自宅マンションで最期を迎えた。それは良かったと思う。なぜなら亡くなる前日まで、ビールとタバコを飲めたからだ。

8月23日/一時帰宅

葬儀が26日になったのでなおみが一時帰宅した。忌引きの途中なので平日休みが転がり込んだ。…がすることがない。母がデイなので諏訪までパジャマを買いに下りてランチすることになった。

 

最近、ボクたち二人のお出かけと言ったらほぼ「諏訪までお買い物」である。

渋谷なら3か月でつぶれそうな味のレストランでも何十年も続く老舗となっているところが田舎のいいところ。残念な味もまた味なもの(笑)

マナから便り。麦茶と手作りグラノーラをくれた。

8月24日/上京

母を一人で留守番させることはできなくなった。いちおうショートステイに問い合わせてみたが、1か月前に予約しないと無理だと言われた。急な用には役立たない。体調が優れずかわいそうだが一緒に東京に連れて行くことにした。

八王子インターを出るともう外気温が体温を超えていた。今シーズン初めて体験する猛暑である。

義母は元気だった。義父の葬儀には参列しないことになった。それがいい。誰もがそう思う。庭のブドウが熟れている。

ボクも脚立を立てて収穫を手伝ったが10分がやっとだった。まるでサウナの中で作業しているようだった。この状態が続けば早晩、東京は首都として機能しなくなるように思う。

現在、幡ヶ谷には彼女と別れた甥っ子が住んでいる。彼に母を頼んで新宿に出ることができた。

二人で夜の街に出るのは敦賀のビジネスホテルに宿泊した6月以来のことである。

久しぶりにこの店を選んだのはちょっとした理由がある。W&Nの水彩絵具がリニューアルしてキナクリトンゴールドがトランスペアレントゴールドと改名された。

2018年、タローを喪った直後の冬にボクたちは電車で新宿に出てきた。画材や弦、楽譜などを調達するためだった。別行動で世界堂に行ったボクは幽霊のように売り場をさまよっていたときに、ふとキナクリトンゴールドのチューブを手に取った。水彩でタローを塗るのにぴったりだと思って購入した。実際には黄色に傾いてタローの毛の色とはずいぶんと違っていたのだけれど、たぶんゴールデンを連想させる名前の語感に惹かれたのだと思う。

楽器屋に行ったなおみとこの店で待ち合わせた。ボクは彼女に「タローの色を見つけた。」と話しながら涙がぽろぽろとこぼれた。そういう頃だった。それから年に一、二度は通っていたと思う。キナクリトンゴールドが改名されたのを知って、久しぶりにこの店に行きたくなった。

食べた料理の写真を上げるのは無粋だと思っていたが、最近は一週間もすると何を食べたのか忘れてしまうので記録することにした。

8月25日/チョコちゃんのエレクトーン

なおみが忙しすぎるので、チョコちゃんのエレクトーン演奏会には一人で往復するつもりだった。それが一人には違いないがひょんなことで電車で行くことになった。なおみは義父のマンションの片付けに行った。姉弟3人の共同作業である。

新宿で乗り換えた中央線が荻窪駅に入るとき隣に総武線が並んだ。日曜の昼どきにもかかわらず、中央線はやっと座れたくらい、立っている人が目立つほどの乗車率であった。総武線も同じくらいの乗客を運んでいた。そして駅を出るとすぐ隣に丸ノ内線の出口があり、ちょうどそこからJRよりも多くの乗客がどっと出てきたのだ。

ボクは生まれてから60年東京に住んでいて、この路線は大学への通学路でもあった。だからこれまでこれを不思議だとは全く感じなかった。

ここ1年、八ヶ岳しらべ荘の最寄り駅「すずらんの里」を利用する機会が何度かあった。日中の普通電車は上下とも一時間に1本、それも車内はがらがらである。そういう環境に引っ越して初めて荻窪駅で目にした光景を異常と感じた。中央線も総武線も丸ノ内線も同じ新宿を出発して荻窪までひっきりなしに来ている。そしてどの車両も乗客を満載している。休日の昼前にしてこの状況である。平日の通勤通学時間には列車の本数も乗客も倍加する。これは「過密」である。決して健全な都市環境ではないのだが、そこに暮らす人たちはそれに気づかない。地方から就職や進学で東京に出てきた人は最初こそ驚くのだろうが、これがスタンダードだと思って慣れてしまうのだろう。賢明な政府、立法府が機能していれば、この一極集中に積極的な手を打つはずだ。現在の過疎過密に対する政策は形式的で解消に向けた実効性を伴っているとは思えない。これを放置すれば最初に韓国が、次に日本が地方から崩壊するだろう。

もっとも余生にゆとりを求めて、その過密都市から脱出した者が国の行く末を案じても詮無いことである。地方は自治体がつぶれない程度にほどほどこのままあまり活気なく静かな状態の方がありがたい。

10分以上立っていられない脊柱管狭窄症のボクであるが、歩く分にはずいぶんと良くなっていることを感じる。そもそも電車を乗り換えて荻窪まで来ることが1年前までなら奇跡である。その上、コンサートの時間には少し早かったので、ふと古本屋に吸い込まれた。こんなことは10年ぶりである。そして本を物色して気づくとなんと20分近くも経っていた。慌てて店を出ようとしたが、気になった本はどれも重そうだったので諦めて文庫本を一冊レジに持って行った。すると

「55円です。」

と言われた。本というのは現在そういう値段なのだ。

演奏会の入場には事前にネット予約が必要である。気を使わせたくなかったのでわざとギリギリ数日前に「にこにこ忍者 できればナイショで伺いたい」と氏名欄に書いて申し込んだのに半日後にはバレてしまっていた。

チョコちゃんの演奏は素晴らしかった。…が、彼女の演奏順は最後で、そのテクニックに酔うまでに2時間近く他の出演者の演奏を聴かなければならない。それがおしなべて古いJPOPや歌謡曲の伴奏をエレクトーンに任せ、演奏者はヴォーカルのメロディと簡単なベースラインを弾くだけのもので実に退屈なのである。一工夫願いたいところだが、さすがにアンケートには書けない。

入場券代わりの紙のミサンガはとてもキレイなので帰宅してもつけていたがシャワーで濡れたら切れてしまった。

なおみが片付けから帰ってきたので、今日は近くの日高屋で生ビール。

これが田舎暮らしではできない。町まで下りて居酒屋や食堂で生ビールを飲むためには飲食代よりも高いタクシー代が往復分必要なのである。

8月26日/葬儀

義父の葬儀には思ったより多くの参列者があった。長女のなおみが喪主なのだとばかり思っていたが会場に行ってみると喪主は義弟だった。葬儀屋さんのコーディネーターが「喪主は男」と言う考えの人だったらしい。この業界はまだ昭和である。

なおみの職場からは花が届いていた。こういったことを手配するのは校長先生の仕事のようだ。

若い時に義父がどうして不徳の行為を行ったのか分からないが、会葬はほぼ「憎むべき厄介者がいなくなった」という雰囲気に包まれていた。ただ、晩年を支えた内縁の奥さんとなおみだけが涙を見せた。ボクは両親が離婚した後になおみと出会ったので義父の過去の行状を知らない。

義父を介護していたヘルパーさんがみな会ったことのないボクのことをホントによく知っていた。義父がことあるごとに自慢して話していたからである。毎月ボクの送ったタローカレンダーをめくっては「シュウイチさんが描いた」と来る人来る人に見せていたそうだ。ボクにとって義父はそういう人で葬儀の様子は不憫であった。

霊柩車の去った空を見上げると、台風10号の影響なのか入道雲がぽかりぽかりと浮かんで美しかった。入道雲は遠目には美しいがその下にいる人たちには土砂降りをもたらしている。洪水や土砂崩れの被害を出していることもある。人もまた二面性を持っている。

ボクは火葬までを参列し、会食は辞退して新宿に出た。火葬場は新高円寺だったので昨日話題にした丸ノ内線である。新宿三丁目まで足を延ばし世界堂に寄ったあと、高島屋でなおみに頼まれた職場への香典返しを誂えた。

夕方、なおみが葬儀を終えて帰った。まだ忌引きが残っているのに明日から出勤したいと言う。相変わらずのワーカーホリックぶりである。空いている時間を選んで帰路についたのに、府中のあたりで大事故があった影響で1時間半も渋滞に巻き込まれたため、しらべ荘に帰ったのはずいぶんと遅くなってしまった。

8月27日/ソーメンカボチャを食べる

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トウモロコシのおまけに頂いた。

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シーチキンマヨ和えという新しい食べ方。

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なおみの学校のひまわり

8月31日/台風の雲

夕方、窓の外を見たなおみが

「空が明るい」

…と言ったのであわてて車で田んぼまで下りた。

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なおみに誘われると母もついてくる。

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自転車より遅い速度と迷走で九州や東海地方に被害をもたらした台風10号は一気に勢力を失って熱帯低気圧となった。

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それでも関東などでは大雨に注意するよう言われているが、どうも信州には来そうにない。

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この雲はおそらく台風の影響であろう。

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どうも今夏、地震も猛暑も大雨も八ヶ岳には縁がなかった。申し訳ないほどに穏やかな夏だった。

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ここからはなおみの作品。

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