June 30/2020

ジャイアント

快晴の休日,芦花公園まで自転車を取りに行った。


プロジェクトB(自転車)を計画したのはタローを喪った直後,2年半前だった。車の買い替えや腰痛の発作で何度も延期されてきた。コスト問題もネックになっていた。計画にあたって三人の親友に相談したところ,その誰もが20万円以上の自転車に乗っていた。二人分の自転車に車載するためのキャリアーなどを含めると50万円近くなる。若いときならともかくプロジェクトBは1,2年で挫折の可能性を包含している。

そこで思いついたのが中古車だ。車と違ってほぼ半額になる。


家から近い専門店を訪ねたところ,その店長がまことにいい人だった。彼はママチャリしか乗ったことのない客の素朴な質問に親身に答えてくれた。

「時期が悪かったです。」

コロナである。満員電車の通勤を避けようとクロスバイクやロードスポーツの需要が急増した。


「状態のいい中古車は右から左に売れて在庫がありません。」

いいのである。どうせ2年半遅れているプロジェクトBである。 ボクたちはもうこの人以外から自転車を買う気がなくなっていた。

「気長に待ちます。入荷したら連絡してください。」

と連絡先を書いて帰った。その後電話をもらい見に行って即決した。


整備を終えたボクのジャイアント。

予算は9万円と頼んでいたがこれは4万円ちょっとだった。定価が10万円弱のクロスバイクである。希望とは違うが,まあ時節柄ノーチョイス。そもそも全く知識のないボクには違いが分からない。もしも店長がこれを9万円ですと言っても「そうですか」と買っていただろう。ボクたちの現状はそのレベルである。



サドルにまたがると足がつかない。クロスバイクとはそういうものらしい。ふらつくボクをドレミが心配する。

「気をつけてね。歩道をゆっくり来てね。」

「ふっ!風のように走ってやるぜ。」



名前はジャイアントだがボクが乗ると小径車に見える。

結局,工事で渋滞する甲州街道をドレミの運転する車より先に帰宅した。軽くてらくちんだが股が痛い。


ボクの腰はなかなか回復しない。連続して立っていられるのも歩けるのも10分が限界である。ところが自転車に座っていると痛まない。プロジェクトBは決定的な運動不足を解消する切り札なのである。