30/小松川千本桜


March 29th/2021

荒川の河口付近、小松川の土手にまだ若いソメイヨシノの並木がある。


小松川千本桜と呼ばれている。


3年前までボクは週2回はこの河川敷を歩いていた。ここは愛犬タローとボクの散歩道だった。妻のドレミはボクとタローを下ろすと先に職場に行って掃除や事務を始める。誰もいない河川敷はボクとタローの天国だった。


タローを喪くしてからここに来たのは初めてだ。

桜の開花が例年になく早まって仕事の繁忙期と重なってしまった。今日は早く出勤して時間に余裕があったので、

「自転車で千本桜に行ってみようか。」

ドレミにそう聞くと

「うん」

と、答えた。「行かない」と言うと思っていたので意外だった。家の前の遊歩道や大山町の公園、彼女がまだ行くことのできない場所はたくさんある。 そうか。ドレミには荒川にタローの思い出はない。


タローを飼う前には何度か二人で花見に来た覚えがある。

してみると二人で花見に来るのは15年ぶりほどにもなろうか。


ドレミが咲いたばかりの枝を見つけた。



江戸時代,川原の土手に桜を植えたのは花見の人出で土手が踏み固められて強度を増すのが目的だったと聞く。



ボクの「桜なめ新宿線」の撮影に時間がかかっている。



下り電車のときは油断していてピンが甘かった。次に通った上り電車は向こう側でよく見えない。昔取った杵柄は折れている。


そろそろ仕事の時間だ。職場に戻ろう。


途中,旧中川の橋を渡る。ここはボクが下りて行けない。かつては毎日来た場所だ。雪の日も風の日も昼に夕にここでタローにワントゥさせた。タローが子犬だったときに植えられたソメイヨシノが今や大木になって花の盛りを迎えていた。