弘法も筆の誤り,師匠も工房の誤り(笑)
矢切のかまだてつや師匠から
「タローの骨壺が仕上げの火入れに失敗して作り直しになった」
と連絡が来たのは8月のこと。あれから3カ月。
師匠は売れっ子作家の上に体調を崩されていた。
ようやく完成の連絡をもらったので,桃次郎に命日の鼻を携えて訪房した。
メモリアルの絵皿も思った通りの仕上がりにならなかったそうなのでテイク2.
今度は焼く前の状態で絵入れさせてもらった。
そして美しく仕上がった骨壺を頂いた。
こちらはもったいぶって命日に骨の引っ越しをしてお披露目しようと思う。
いつも申し訳ないと思っているが伺うのは仕事が終わってからだ。
帰宅は1時半になった。
「皿に絵を描いてタローが喜ぶかな。」
タローにとってうれしいかどうかはあまり問題ではない。
生前からタローのステッカーを作ったり,旅に連れて行ったり,新しい胴輪を買ったり…
タロー自身にとって,それはあまり意味がない。
ただ,ボクが喜ぶ,その心を読んでタローは喜ぶのだ。
タローにとっての幸せはボクが喜ぶことだった。
きっと今でもそうだろう。
骨壺を見せると尻尾をパタパタさせて喜んでいた。
パパとママがとても壺を気に入っているからだ。
絵皿のために数分で描いたラフスケッチ。
「ダメ,似てない。」
…なおみのダメ出しに数秒でボツになった。