バラが咲いた
タローが骨になって帰った日,ボクたちは骨を拾ったあとの粉までも掌で集め泣きながらそれを庭に撒いた。
暫くしたある日,生協のドライバーがお得意様にお礼だと言って薔薇の苗をくれた。
園芸をしたことのないドレミはそれをもてあまし,タローの粉の上に植えた。
夏の間,何度か母が手を加えてくれたことは確かにあるが,あとはドレミが水やりしていただけだった。
驚いたことに陽が当たらない庭で薔薇は育ち,とうとう2年目に花をつけた。
タローの2年6カ月の月命日,その数日前のことである。