OUR DAYS 2021年2021/08/22

「シュウはいいよな。60才と58才とじゃえらい違いだ。都はオリンピックじゃなくワクチンや病院を何とかしろよ。」

弟は母にLINEでそんな愚痴をこぼしていたそうだ。ボクが高齢者枠で2度目の接種を終えた日のことだ。人と接する仕事だからとワクチンを切望していた彼はその後ようやく8月末に1回目の予約が取れたと喜んでいた。

ところが先週「間に合わなかったよ」とLINEが入った。新型コロナウィルスに感染し保健所の指示で自宅療養となった。39度を超える高熱が続き体が痛むのに「バファリンしか持ってないんだ」と言う。ポストに腰痛用の鎮痛剤を届けた。東京で新規感染すれば病院に行って薬をもらうことすらできない。

「投函してくれた薬を飲んだら熱がちょっと下がった。おかげでうどんをふた口食えた。」矢のように返信を送っても滅多に既読はつかない。

発症から5日目にようやく保健所からロキソニンと食料が送られてきた。そして8日目に家人の努力で往診リストに入れたため,診断で即入院が決まり民間救急車で搬送された。肺炎を起こしてすでに中等症2,ぎりぎり後はなかった。レムデシビル点滴で症状は安定したがなお予断を許さない。

東京で弟のように入院できる人は1割に満たないと聞く。ワクチン接種や医療現場がこんな状態にならぬよう準備する機会は1年以上あった。都や政府のすべきことは布マスクをばらまいたり,Go toキャンペーンを張ったり,まして五輪の準備や開催ではなかったはずだ。おそらくは首相や都知事にも信念や立場があるのだろう。だがこうなることが十分予測できたのに、彼らに投票し支持する人たちの多数であることがボクには理解できない。

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