おもねり写真
- 2025/05/28 10:51
「おもねり写真」の「おもねり」はなかなか説明が難しい。ボクたち夫婦は37周年を過ぎたがいまだにけんかというものをしたことがない。若い頃はトラブルがあっても年齢差もあって一方的にボクが叱る感じだったのでけんかにはならなかった。最近ではトラブルそのものがない。それでもごくたまに意見が違ったり、言い方が悪くて相手の癪に触ってしまうことはある。
以前にこんなことがあった。なおみがフィギュアスケートを楽しそうに見ているとき、つい競技を揶揄するようなことを言ってしまった。

「シュウは見なくていいよ」
と、なおみはいっとき不機嫌になった。ひと月ほど経って次の大きな試合があったとき、ボクは事前に出場選手のことを調べまくった。なおみが録画を見始めると、競技の合間を見てはあれこれと質問を矢継ぎ早にしまくった。各選手の美点も褒め上げた。とうとうなおみが吹き出した。ボクは
「ちょっとおもねってみました。」
と言った。これが語源となり、互いの機嫌を取ろうとする行為を「おもねり」と呼ぶようになった。
さてこの朝、いつものようにローリィと一緒になおみの通勤の車に便乗してウォーキングの出発地点まで運んでもらっているとき、なおみの物言いに気に入らないことがあったので注意した。そのままローリィと車を下りウォーキングして帰った。家に戻るとなおみからLINEが着信していた。曰く
「立沢大橋を渡る直前に絶景ポイントがあって、晴れたら撮ってもらおうと思ってたんだけど、今日しかチャンスが無さそう!水の入った田んぼと入笠(山)行ってみて!」
おもねりLINEだな。どうやら朝の物言いについて、運転しながらくよくよ反省していたのだろう。それにしても面倒な「おもねり」を寄こしたものである。立沢大橋(富士見町)の手前まで写真を撮りに行かなくてはならない。一眼とLレンズを車に積んで出かけてみたが、着いた頃には入笠に雲がかかり朝は凪いでいた風も強まっていた。
今年は天気が悪くて、また珍しく晴れたかと思えば強い風に水面が漣立ち、田んぼの水鏡写真がほとんど撮れなかった。田に水が入って田植えが始まるまで、そしてアルプスや八ヶ岳の残雪が消えないうちのほんの短い期間しか水鏡のチャンスはない。条件は悪いが漣の鎮まる一瞬を待ってシャッターを切った。
すぐに現像して送ってやればなおみも安心するだろう。
