なおみ,オケの初練習に行く
- 2023/06/15 22:08
6月15日
雨は上がったが霧の深い朝,ウォーキングで通る9条通りはレースフラワーとマーガレットで美しく埋まっていた。
9条通りはボクが名付けた。知識人が多く,庭の通りに面した場所に9条の全文を掲示した看板を立てている家が3件もある。
庭の真ん中の通路脇に紫色の美しい花が咲いた。ジュウニヒトエではないかと思われるが,そのうちにジュンさんがご覧になったら教えてくれるだろう。
菜園の手入れに余念ないなおみ
「見て見て」
と言うので覗くと,おそろしいほど小さなキュウリが成っていた。
母の体調がよく,なおみが鍬をふるって耕してあげたところに自分で花の苗を植えている。
「むつみさん(義母)はもうアメリカから帰ったかしら。」
「母はアメリカとボリビアに行って4月の終わりに帰りました。」
「ホント?」
「お母さんはアルパカの毛で織ったショールをお土産にもらいましたよ。」
「あら」
「お母さん,LINEを開けてください。」
そう言って母が義母に送ったお礼のLINEに添えられたショールの写真を見せる。
「ほらね」
「ホントだ。忘れん坊になって困るね。」
よくある物忘れのやりとりと思われるだろう。だがこの会話はかれこれ10数回繰り返されている。その都度,なおみは根気よく同じ対応を続いている。ボクは辛抱が続かない。肉親だからかもしれない。なおみに窘められているので母を諭すことはしないが,どうしても笑顔が作れない。
ボクの庭仕事はここのところ専ら廃品の処理である。毎日,全く違う作業をするので,常に全身の筋肉痛に悩まされている。
夕方からまた雨になった。なおみは諏訪響の練習に初参加するために出かけなければならない。練習場は上諏訪。夕方は甲州街道が混雑するので,びゅんびゅんコース(上川沿いの自動車専用道)を行かなくてはならない。
「あんた,送迎するんじゃなかったの!?」
母が心配して言う。こんなに「まとも」なときも間々ある。だが上諏訪まではボクが飛ばしても45分くらいかかる。入団すれば毎週のことなのでひとりで運転していく必要がある。
それになおみの運転は鍛えてある。6速マニュアルのオーリスを操るのはイマドキ男でもそうはいないだろう。
じたばたしても仕方ない。ボクはビールを開けてサッカーの代表戦を見た。これまでは仕事のためにリアルタイムで見ることは不可能だった。試合は6-0の一方的展開で日本代表が勝った。
缶ビール2本でぐでんぐでんになったところで試合終了。それから1時間くらいしてなおみが帰って来た。楽しそうに練習の様子を話す。
「ねえ,入ってもいい?」
そんなに楽しいなら聞くまでもないことだが,さて秋から仕事と両立して体が大丈夫か。ボクの心配はそこである。