安曇野市豊科近代美術館
- 2023/06/07 23:50
夫がキングサイズだと服を調える妻の負担は大きい。19号で見かけたワークマンに飛び込むと作業用だけでなく普段着もいくつか買うことができた。
ちなみにボクは生まれてこのかた自分で着るものを一度も自分で選んだことがない。高校1年のときはすでに身長が180cmを超えていた。当時の既製服で着られるものはなかった。友だちはみな渋谷や原宿に服を買いに行ったが,ボクは自分のファッションに興味を持たないようセルフコントロールした。オシャレな服を買おうとすればインポートものしかない。家計に負担をかけたくなかったから母が買ってくるものを黙って着ていた。結婚してもそのへんの経済的事情は変わらないが,調達するのが母からなおみに代わって一気にオシャレになった。なおみは限られた予算で買い物する天才である。
東京ではたいていのものは新宿サカゼンで足りていたのだがこれからはそうもいかない。アメリカンイーグルもオールドネイビーも撤退し,サカゼンは遠くなった今,ボクの衣類はしまむらとワークマンに頼らざるを得ない。
さて安曇野まで足を延ばしたのは他でもない。
安曇野市豊科近代美術館
中島潔さんの画風はあまり好みではなかったのだが,亡くした愛犬うめ吉を忘れられずに作品に頻繁に描きこんでいらっしゃるという話をテレビ番組で知ってすっかりシンパシーを抱いた。ボクも真似をしたいが如何せんタローは画面上での存在感がありすぎる。実物のうめ吉画はどうなんだろうと思って展覧会を見に来た。
ところが最近の絵の中に登場するのはうめ吉くんではなかった。ボクらと違って中島さんには新しい愛犬はあとくんがいて,現在のモデルも溺愛するはーとくんだとのことで興ざめしてしまった。絵はとても美しく緻密だった。ボクはいつものように車椅子を借りられたので腰痛に苦しむことなく鑑賞できた。
美術館のバラ園が花盛りだった。
ところで豊科という地名が影を潜めている。豊科インターの名もいつの間にか安曇野に変わっている。
これも例の町村合併の結果らしい。「科(しな)」を冠する歴史ある地名が行政や観光の都合で消えていくのは寂しい限りだと思いながら調べてみて驚いた。
なんと「豊科」自体,明治時代の町村合併で作られた地名だった。鳥羽,吉野,新田,成相の頭文字をつなげた地名だとのこと。これにはびっくり。
安曇は渥美や熱海などと同じく朝鮮半島からの渡来人の姓である。おそらく6世紀に白村江の戦いのあと天智天皇に保護されて近江に住んでいた安曇一族がやがて全国に散り,松本平の西部にも侵略して来たと思われる。1400年を経てついに地名でも地域に覇を唱えたというわけであろうか。
こちらなおみのiPhoneの自信作。さてまだ日は高い。しばらくは安曇野を走って帰ろうか。