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山葵丼を食べる

  • 2023/05/26 18:07

教室を閉じてからボクらの朝は劇的に変わった。以前は8時が起床時間だったので,宿に泊まると朝食の時間に起きるのがタイヘンだった。

ところがここのところ5時半には目が覚める。

母を連れて散歩に出てから,朝湯に浸かってもまだ朝食の時間には間があった。

来週には転居の手続きに入るので,実質これが最後の渋谷区民としてのラストとなる。

河津を出てさらに下田方面に南下する。タローを喪った年の秋に来て以来の白浜。まだ胸が苦しくなる。なおみはあっさり泣いている。

満開に咲いている花を母が一輪摘み,その花で子どもの頃にお友だちといつも楽しんだという人形を作って見せた。こういうときは全くの健常者である。

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歩かなくて済む観光地を考え抜いて,伊豆の突端石廊崎まで来た。だが,海と灯台が見える場所までたった100mほど歩かせるのが一苦労である。なおみが何度も何度も励ましてようやく歩かせ,またビジターセンターまで支えながら送って戻った。世の中によくできたヨメは大勢いるだろうが,ウチのヨメもかなりよくできたランキングで上位にはいるだろう。

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再び灯台に戻って束の間,ふたりで観光タイム。

岬の突端にある神社まで,ちょうど幼稚園児の団体といっしょになり,その様子に癒された。

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引率の先生たちはホントにタイヘンだ。だが大人がふうふうと苦労する坂道もちびっ子たちは全く平気である。神社のお参りにはもちろん興味がない。たぶん彼らの記憶には残るまい。

ビジターセンターに戻り,三人でひとつのオーシャンソフトを食べた。写真は「元オーシャンソフト」である。あまりにも喉が渇いて食べる前に写真を撮り忘れた。

さてクイズ。これは何の図かお分かりだろうか。手に持っているのはゴディバの保冷バッグである。正解は「暑い車内で溶けないよう日陰の草むらに隠していたチョコレートを回収したところ」。前日アウトレットでお買い得だった高級チョコ。

 下田から山中414号を使って再び河津七滝に戻ったのは他でもない。こちらの山葵丼をお昼に頂くためだ。

「ごろ~♪」

最近,我が家ではアマプラの「孤独のグルメ」がブームになっている。時間は短く,複雑なストーリーを理解しなくても楽しめ,日本語字幕がついている。夕食のときなど母と一緒に見るのに好都合だからである。

「かどや」の山葵丼はその番組に登場した。だが見たのはついふた月ほど前なのに残念ながら母は覚えていない。さらになおみが動画サイトで予告編を見つけて予習させたが,やはり忘れてしまった。

放映の影響だろうか。人気店となっていて,お昼前に着いても名前を記入して20分ほども待った。

ここでも草むらにゴディバあり。

夕方に三島の友人宅を訪ねる約束なので,まだ時間がずいぶんとある。修善寺から達磨山を越えて戸田に下りることにした。

途中,名物の猪最中を初めて買った。

伊豆中央道の工事は目に見えて進んできている。三島から下田までことによると平日の所要時間は半減するかもしれない。だがそれでいったい誰が得をしているのだろう。長岡,修善寺,湯ヶ島と通過する沿線の観光地の衰退はより加速している。車の流れが変わって,沼津インターや三島の136号沿いにかつてはずらりと軒を連ねていたお土産屋さんも姿を消した。有料道路が通っても休日の渋滞は変わらない。目先の公共土木工事は一時的には地方自治体を潤すかもしれないが,観光業との共存はよく検討されていない印象が強い。月ヶ瀬まで到達した有料道路がさらに天城や河津を飛び越して下田と繋がる日も遠くない。国道沿いにある名物最中の老舗はどうなるだろう。

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達磨山からの景観。

西伊豆に下るいくつかの道を通った回数はそれぞれ50回を超えている。それでもまだ新しい発見がある。霧香峠から戸田に向かう途中,「北山の棚田 棚田100選」との看板が目に留まった。あるいは看板はこれまでにも気づいていたかもしれない。寄ってみようと思ったのは初めてのこと。

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こ,これか…。

「…」

棚田からみかん畑を100メートルほども上がった森の入り口に小さな無料駐車場がある。もちろん母は車に留守番している。急坂をえっちらおっちら登っているとみかん畑で作業していた人が,

「車はそこに停めたらいい。ワシの家だから遠慮はいらん。」

と,呼び止めてくれた。

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優しい申し出,ありがたいことではあるが,できれば帰りではなく行きにそう教えてもらいたかった。

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戸田に来たのもたぶん30回は軽く超えている。タローを連れて来たのも数回,外国人をあんないしたことも数回,思い出が重なって混乱するほどだ。

なおみを初めてドライブに誘ったときも戸田に来た。

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杉林に身を隠したのを探していると,くくくくと笑いながら

「イマムラさん」

と,ぎごちなく声をかけて同じこの木陰から出てきたのは17才のときだった。

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思い出に浸りながら当時から変わらない灯台でいつもと変わらない写真を撮っていると,

車で寝ていたはずの母が堤防の階段を登ってきたのには驚いた。

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そろそろ時間になったので三島に向かうことにしよう。

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