さらば東京
- 2023/04/18 09:34
4月19日が引っ越しの日になる。
2月に教室を閉めたのでボクらが3月中にも引っ越すと思っていらした方が多かった。
なぜこんなに間が開いたのか。それはちゃらTが4月16日に会ってお別れしたいと言ったからだ。
16日の後のゴミ収集日を引っ越し日に決めた。ちゃらTはボクらにとってそういう存在である。
昨年赤ちゃんが生まれて「パパでちゅよぉ~」のパパTに改名したが,ここでは紛らわしいのでちゃらTという旧名をそのまま使うことにする。
16日の夕方,雨上がりの遊歩道をボクらは歩いた。ちゃらTが予約したレストランが遠い。
ボクの腰に配慮して幡ヶ谷の近くを選んだつもりだろうが,かえって徒歩の距離は長い。
1.2kmは脊柱管狭窄症患者にはかなり苦しい距離である。
二度目の休憩。背に負うはクッションである。
HPで確認すると,アーリーアメリカンを模したオシャレな店だが,木の丸椅子は腰痛の高齢者には厳しい。
ブルーマジックを持参することにした。
ボクの通っていた中学校の先。
代々木は岸田劉生の油彩画の写生現場としても知られる坂の町である。
ついになおみもダウンして郵便局でチラシを見るふりをしながら腰を曲げて休む。
到着。ちゃらTにごちそうになるのは今日が三度目である。
一度目は三軒茶屋,二度目は目黒のそれぞれ古い倉庫か屋根裏かと見まがうような狭い狭い店で得体の知れないまずい料理を食べた。
それに比べると今日の店は格段に当たった。天井も高く広々としていて,場所柄セレブな客も多い。
ソファーのある予約席に通されてクッションの必要もなかった。
「道に迷いまして」と言い訳しながら,遅刻したちゃらT登場。
これも味のうちである。
味と言えば料理はどれも特急においしい。これにはびっくり。三度目の正直の大手柄である。
単純なちゃらTの鼻がみるみる高くなる。
メニューにあったコロナを頼んだ。
ちゃらTが教室にアルバイトに来ることが決まったとき,歓迎会と称してフラーデーズに連れて行った。
そこで「コロナの飲み方を教わりました。」と言う。
ボクらは知らなかったがお酒が初心者だったちゃらTはそのときトイレで吐くほど飲まされたらしい。
…長い長い思い出に花を咲かせながらコロナのボトルで乾杯する。
ちゃらTはそれをとても感慨深そうにしていた。
中学生だったときのこと,高校部のときのこと,バイトのとき,一人で送り込まれたニューヨーク旅行…
ボクらの続けてきた仕事が人を育てることだとすれば,彼はボクたちの最高傑作である。
☆彡☆彡☆彡
東京での全ての用は終わった。
なおみが2週間も前からコツコツと作っていた引っ越し荷物。
その段ボール箱の波がとうとうイーゼルを押し退けてPCに迫ってきた。
ボクも荷造りに入らなければならない。
さらば東京!
…とかっこよく決めたいところだが,会社の整理の関係で住民票はまだしばらく渋谷だし,家のメンテナンスにも再々来る必要がある。